ON THE ROAD

クリステン・スチュワートが「メリールウ」を演じている。『トワイライト』シリーズのイメージがすっかり強くなってしまった彼女だが、もちろん彼女のキャスティングは、2007年ショーン・ペン監督作『INTO THE WILD』による。その映画の中で彼女は、主人公と一瞬交差する、南カリフォルニアのエグザイルたち、その若い娘を実に魅力的に演じていた。

『トロン レガシー』で主人公を演じたギャレット・ヘドランドがディーン・モリアーティ。彼のキャスティングと描き方については、この映画で最も賛否両論分かれるところかもしれない。だが筆者は(あくまで個人的にはだけれど)、原作をきちんと読めば、ヘドランド演じるモリアーティが原作にわりと忠実であるように感じる。読者によってはモリアーティとはこのような男に映っているはずなのだが。

主人公のサル・パラダイスを演じたサム・ライリーで特筆すべきは「イギリス人であること」だろう。まさか英国人が自分を演じることになるとはジャック・ケルアック(サルはケルアックの分身だ)も思っていなかったのではないか。内向的な若者の役を見事に演じていると思うが、実際のケルアックは、どちらかというと背の低い男だったから、筆者は個人的にサム・ライリーの体躯の大きさが気になった。

すべてのキャスト(俳優陣)の中で特筆すべきはヴィゴ・モーテンセンだろう。もともと「濃い演技派」であることは広く知られているが、これほどウィリアム・S・バロウズにそっくりとは! 彼の登場シーンは短いが、その登場オープニングからずっと目が釘付けになるほどバロウズそのものだ。

映画『オン・ザ・ロード』
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
監督:ウォルター・サレス(『モーターサイクル・ダイアリーズ』)
出演:サム・ライリー、ギャレット・ヘドランド、クリステン・スチュワート
配給:ブロードメディア・スタジオ
宣伝:Lem

8月30日、TOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開