5月16日(金)、東京・渋谷のBunkamuraドゥマゴパリにて開催された、伊藤比呂美と平松洋子のトーク・イベント。「ドゥマゴサロン 第10回文学カフェ『生きる』」。その様子をリポートする3回目。
取材・撮影/Coyote編集部
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5月16日(金)、東京・渋谷のBunkamuraドゥマゴパリにて開催された、伊藤比呂美と平松洋子のトーク・イベン。「ドゥマゴサロン 第10回文学カフェ『生きる』」。その様子をリポートする3回目。
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伊藤比呂美 若いときって、生気があるというか、エネルギーがすごい武器なんですよね。セックスもして、闘っていて。ただ、若い頃は、食べ物に対する快感というのはなかったかな。26〜27くらいのときですけど。今日は「食べ物がテーマ」ということで、朗読するときに何か「食べ物」に関するものにしようと思って。それでさっき「白玉」でした。
平松洋子 (伊藤さんの朗読とその内容は)初々しいところに戻る感じが、よかったですね。
伊藤 嫌ですね〜(笑)。
平松 それ、いいんじゃないですかね。
伊藤 私、人生としては、肉体はあの頃(若い頃)に戻りたいけれど、精神はそうでもないというか。ここまで年取って、本当によかったと思っているんですよね。年取って、今、毎日が楽しいし、前向きだし。更年期過ぎてから私は、新しい人生を生きている感じがする。毎日。
平松 なるほど。でも、そんな中で、若い頃に書いた「白玉」を読むという感じが、私にはよかったと思いました。よかったな、あの頃、という正直な吐露。
伊藤 バカだったなぁ、と思いますけれどね。
平松 いや、そういうのもひっくりめての、良さなんじゃないですか。
伊藤 平松さんは、いくつくらいから書き始めたの?
平松 大学生くらいじゃないですかね。
伊藤 食べ物について?
平松 いや、そのときはね、人へのインタビューとか、ルポルタージュとか、そういう世界。まだ、「食べ物」と「書く」ということが、一致していなかった。
伊藤 今は・・・
平松 一致していますよね。
伊藤 セックスと死は?
平松 同列だと思いますよ、食べることと。
伊藤 やっぱりそうだよね。