What he talks about when he talks about Aloha Shirt.
デール・ホープが2000年に発表したグラフィック本、
『The Aloha Shirt〜Spirit of the Islands』の日本語訳が出版された。
アロハシャツに関して現在わかっている歴史や知識がすべて詰まった、
華麗、かつ読み応えのある1冊だ。
photography by Hideaki Sato
実に美しい本だ。
ハワイの花の香りが漂ってきそうな本。そしてこれを読むと、アロハシャツの黎明期に、これほど深く日本人と日系移民が関わっていたという驚きを発見するだろう。日本とハワイの深い繋がりがここにはある。
コウイチロウ・ミヤモトは、オーダーメイドのアロハシャツを世界で初めて作った人だ。初期の2大人気店の名は、ムサシヤ・ザ・シャツメーカーとムサシヤ商店。当初、日本の浴衣や着物の布地が使われていたという事実。ハワイ島ヒロの工場の写真では、裁断しているのもミシンに向かっているのも、すべて日系移民の女性たちだ。1930年代ということは、彼女たちは1世ないし2世。米国本土から仕事でハワイを訪れた有名ファッション誌の編集者がこう驚きの声を上げている、「一人ひとりが米国内で最も優秀なお針子だ」。当時のオーナーでやはり日系移民の女性は述懐する。「工場で働く女性たちは、自分の仕事にとても誇りを持っていました」。
本書を編んだデール・ホープも少年時代に、日本から船で届く布地の鮮やかな色彩、絵柄に強く魅せられ、それが彼をテキスタイル・デザイナーの世界へと誘ったのだった。
イヴォン・シュイナードが「初期のPataloha」について想い出を語っている。その中でイヴォンは、パタゴニアの精神でもある「本物(最高のもの)」を、アロハシャツの精神と重ね合わせた上でこう記している。「生地の歴史、デザイン、品質、それらどれもとってもハワイで作られた理由があるだけでなく、アロハシャツそのものが『芸術』なのだ」
ジェリー・ロペスは本書の前書きでこう述べている。「アロハシャツはアロハ・スピリットの象徴であり、アロハシャツを着ることは、アロハ・スピリットを纏うことだ。(中略)アロハ・シャツを着ると私は気分が良くなるし、着ている私を見た人も何かを感じると確信している。それが、アロハ・スピリットの力だ」
デール・ホープはこの本を急逝した友人に捧げている。故トミー・ホームズのこんな言葉が、深く胸を打つ。
「人々は、レイ同様、アロハシャツを着ることで、一番大切な土地に対する自身の愛と繋がりを表現しているのです」
アロハシャツを着る。それは、ハワイの歴史や文化、森羅万象を表現することであり、アイナ(土地)を愛することでもあるのだ。
デール・ホープ
Patagonia Japan Publications/¥9,450(税込)